僕の活動先として、農業法人の嘉年ハイランドがあります。
嘉年ハイランドは主にコメの生産を行っている法人なのですが、僕はそのコメの販路拡大などの部分でサポートしています。
で、農業にもろに関わると決まった時に、心に決めていた事があります。
それは「少なくとも1年間は、営農の事に絶対口出しをしない」ということです。
販路拡大が僕の主たる仕事なので、販路であったり商品のデザインについてはメチャメチャ口を出します。(というか、新規商品はほとんど僕の独断で企画が進んでいます)ですが、営農に関して僕が何かを口にしたことは一度もありません。
なぜなら、僕は農業に関して素人だからです。
WEBデザインにしても何にしても「素人の意見をそのまま聞くと品質の低いものになってしまう」と、僕は思っています。そして、重要なのは「顧客の提案的意見」ではなく「感想」だとも。
例えば、レストランで僕が食べたものが苦く、もう少し苦味を抑えたほうが好みだった場合に言えることは「僕はもう少し苦味の少ない方が好みです」という感想です。「もう少し苦味を抑えたほうが良いと思います」などという提案的な意見は、言うべきではないと思います。(もちろん、提案を求められた時は別ですが……)
それはレストランのシェフが考えるべきことで、一顧客の僕が考えることではないからです。シェフが真に受けて苦味を少なくしたとして、大多数の顧客が僕のように「苦味を抑えた方が好み」ではなかったらどうでしょうか?実害を受けるのはシェフで、僕ではありません。
勿論、プロであればそんな意見は「感想の1つ」として処理すべきですが、自分の専門分野以外の事に関してその道のプロに口出しをするのは決して良いことではないと思っています。
以前、福岡の魚料理が美味しい料理店で食事をしていた時にこんなことがありました。
中年の男女が5人位、僕達の隣のテーブルに座っていたのですが、白身魚の刺し身を前にして
(男性)「あれ?この魚ちょっと活きが悪くないかな?」
(女性)「そうだね。時間がたってるんじゃないかな」
(女性)店員を呼んで「すいませ~ん。これちょっと鮮度が悪いんじゃないかな~。交換してもらえる?」
(店員)「はい。ただいま。」
(女性)「ごめんね~。私達魚についてはちょっと口が肥えてるの」
(男性)「いつも新鮮な魚を釣って食べてるからね」
というやりとりがありました。
僕はそのやりとりを聞いて、正直げんなりしました。というのもそのグループが『白身魚の刺し身は熟成させたほうが旨味成分が増える』という事を知らなかったために起きたやりとりだったからです。
僕も同じ刺し身を食べていたのですが、きちんと熟成され旨味が十分にあり「とても美味しい」と感じました。もちろん「旨味成分よりもコリコリとした歯ざわり」が好みであっても良いのですが、それは「口が肥えている」わけではなく、一個人の好みの問題に還元されます。
一般的に福岡の人は「とにかく新鮮な魚」を好む傾向にあります。ですが、これはあくまで福岡(や九州)の中だけで、東京などは白身魚は熟成されたものが好まれます。
僕は福岡人ですが「熟成した魚」の方が好みなので、こういった無知で心ない発言がもとでこのお店が(白身魚を熟成させないように)方向転換したら嫌だな…と、思い会計の際に「白身のお刺身、きちんと熟成されていたので非常に美味しく頂きました」と伝えました。美味しんぼの山岡だったら、「やれやれ、熟成が進んでいない魚をありがたがるなんて、福岡の自称食通はちゃんちゃらおかしいねぇ」と突っかかっているところですよ。ホントに。
ちょっと話は脱線しましたが、「プロでもないのに専門家みたいなことを言わないほうが良い。そんなに言うならあなたがやればいいじゃん。」って事です。(もちろん、感想はOKですよ)
ともかく……
僕は農業のプロではないので、営農には口出しをしません。そのほうがうまくいくと思っています。
↑最近の僕の田んぼです。最近のひざしで水位が下がってきたので、この後水を入れました。
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