嘉年

【奇祭】神懸り状態になる須賀社の厄神舞がスゴイ!!その②

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この記事はその①の続きですので、①をご覧になっていない方は①からご覧ください。

【奇祭】神懸り状態になる須賀社の厄神舞がスゴイ!!その①

神様がうつりやすい人、うつりにくい人

さて、昨日ちらっと「神様がうつりにくい人とうつりやすい人」がいると書きました。

昨年の厄神舞の際、僕も止め役(受け手)を経験させて頂いたのですが、その際に嘉年の方々は「あっ○○さんだから出る(ウツる)」とか「○○さんは今まで出にくかったけど、今年は出そうなね(出そうという意味)」と話されていました。

厄神舞、とめ役から見た舞殿

実際、「物語の里 嘉年」で吉岡サトコさん(当時83歳)はこのように話されています。

あれは不思議なもんで、神様がうつり易い人とうつりにくい人があります。毎年舞うてもうつらん人は、面倒ないと思われて、どねいかしてうつろうと飛び回ってじゃが、うつらん人はうつってじゃありません。それにうつろうと思うて騒いでじゃから、ほかの見とる者がうつるかと思うてワーワー言うてじゃから、ひどううつりません。それでも時にはあれでもあの人がうつられたかということが時にあります。

祭りが近うなると、晩に舞の練習をしますが、田中勝詮さん(当時54歳)は晩に床に入っておってその太鼓が聞こえてくると、今どの辺をやりよるか分かる。そうすると自分がひとりでにうつるそうです。うつると神様をお降ろしする御幣はなし、頭が悪うなっては困るので、練習の番はどっかに行けて太鼓を聞かんようにしておられましたが、それはよううつる人でありました。

長見俊次さん(当時51歳)もエボシをかずかせるからヒョロヒョロするちゅうぐらいよくうつられます。この方も何遍舞うてもよううつられる方で、明けての日は頭が悪いちゅうて一日ぐらいは寝てような事もあるそうです。

どねいかして=どうかして
ひどう=ひどく

このお話にあるように厄神舞が近づくと舞の練習があります。その練習の音を聞いただけでもうつるというのはやはり体質がある、ということですね。

笠の神(笠の紙)について

昨日も書いたように、舞子は頭には「笠の神」といって5色の色紙をつけます。この「笠の神」を通して神がうつるとされていますが、練習の音を聞いただけでもうつるということは、笠の神を通さずともうつる、という事でもあります。とはいえ、笠の神がひとつのバロメータになっているのも事実です。これも吉岡サトコさんのお話ですが、

踊り始めには紙はユラユラしていますが、うつるとスーッと端が上へあがる。見ておって笠の紙が上にあがると、さあ出るでよ、と待っていると、すぐに飛び出す。時には紙が真上にのぼります。

笠の神を(笠の紙)と表記されています。どちらが正確かはわかりません。ですが厄神舞の日に初穂料を納めると差出人が「笠神」とされて、笠の神の一部が送られてきます。嘉年の人はこれを財布などに入れてお守りとします。もちろん僕も持っています。(昨年頂いたのは黄色の笠の神でした)

厄神舞・笠の神の一部
↑笠の神の一部。丸い穴は紐を通した所だと思われます。

お守りにするだけではなく、手が震えたりする時に紙を小片にして水で飲み込むと震えがとまったりするという方もおられます。「気持ちからかもしれんが治ります」とのことです。また、痛む箇所にかざすことで、痛みを抑えたりもするそうです。

 

神様がうつる心境

神懸りになる時というのはどういうことなのでしょうか?

またまた吉岡サトコさんのお話ですが、

よううつる人に聞くと、舞と太鼓と笛がいよいよ調子が合うて、トコトントントンとなりはなえると、何とも言えん気分がようなって、何を案じるでもない、神様になったような気分で舞うておるうちにうつるそうです。時には、本気になって、うつっちゃあいけん、うつると皆が騒いでじゃから、うつっちゃあならんでよと思うて舞うが、じきのこと分からんになって、気分がなんとなあ浮き歩くようになるちゅうことです。

自分はうつるまいと思っても、意識を失ったようにうつるということですね。太鼓と笛、舞が渾然一体となった先に、「ウツリ」の境地があるのだと思われます。

 

焚き火に向かう、「うつった」舞子

ちなみに、神様がうつった人は火の方に行くという傾向もあるようです。

ちなみに火(焚き火)の場所は以下のとおり。

須賀社の配置

この場所に焚き火があるのは暖をとるというだけではなく、神がうつった舞子の誘導という意味もあるようです。昔は火の中へ飛び込んだ舞子もいるそうです。

厄神舞の焚き火

倉田留市さん(当時76歳)のお話によると、

火を焚いておくと火の方へ飛んでくるから、石段の角の方で大火を焚いて待っていて、飛び出してきたら、ダーッと行って抱きついて止めます。必ず火の方へ走ります。火の方へ走らんのは、ひどくつねると「アイタッ」と言います。昔舞子に某というオーボーケーのおもしろい男がおって、「ええ舞じゃのう」と言うて褒めると、サーッと飛び出る。それで放っておくと、しばらくして戻って来て、「やれやれ、誰も追って来んので田代の峠まで走って行ってタバコを吸うて帰ってきた」と言いよりました。しかし、本当にうつった者はいくらひねっても覚りません。

ということで、火の方に走る舞子が本当にうつった舞子だということです。昔はうつってないのにうつったように見せかけて飛び出していった人もいるということですが、それを無視するというのもなかなか面白い話です。

と、いうことで、以上が厄神舞の概要です。毎年旧暦10月の子と牛の初日にありますので、興味ある方はぜひ一度ご覧下さい。僕は来年も「とめ役」として参加させていただこうと思います。

厄神舞が終わった後の須賀社

舞が終わった後の須賀社。祭りが終わった後ってなんとも言えない寂しさがありますよね。

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