畜産

牛(素牛)のせり市場を見学しました。

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素牛とは?

素牛(そぎゅう)という言葉をご存知でしょうか?

素牛とは誕生から約8~9ヶ月経過した牛のことです。僕の大家さんの上田さんは繁殖農家で、母牛を飼育してそこから産まれた子牛を素牛まで育て、市場(しじょう)で売ります。

市場で買われた素牛は肥育農家さんの所で飼育され、十分成長したら肉牛として出荷されます。

市場ではせり形式で素牛が落札されるのですが、今回はそのせりの現場に連れて行って頂きました。

市場にいく

朝5時に起きて、5時半に上田さんの家に向かいました。まだまわりは真っ暗ですが、素牛を載せて市場まで運搬するトラックが朝のラッシュにまきこまれないようこのような朝早くから牛を積み込みます。
牛を牛舎から出す。

牛をトラックに積み込む
↑素牛をトラックに積み込む上田さん夫妻。今回は珍しくすんなりと乗ってくれました。

市場が開くのは10時からなので、朝ごはんを食べて7時少し前に市場まで向かうことに。8時前には「山口中央家畜市場」へ到着しました。山口県の素牛がここへ集まります。

山口中央家畜市場

口蹄疫対策のトラック用消毒液散布機

↑ちょっとわかりにくいですがここをトラックが通った時にシャワーのように消毒液を散布します。口蹄疫などの予防のためのようです。

口蹄疫予防の靴用消毒液
↑これも口蹄疫などの感染症予防のための消毒液。長靴を履いた足をここに入れて消毒します。

あとう和牛のジャケット

「あとう和牛」のジャケットを着た上田さんの後ろ姿。あとう和牛はかなり高級なお肉となっています。阿東内だと道の駅「長門峡」で買えます。とても美味しいですよ!

トラックからでる牛

続々と到着する牛(素牛)たち。山口県の各所から集まってきます。今回は357頭の牛がせりにかけられます。9ヶ月とはいえ200~300キロの牛が嫌がると、なかなか力だけでは引っ張りだすことはできません。そういった場合は縄を持っている人と、牛の後ろにまわりこんで押す人が必要になります。(後ろに回り込むと蹴られるのでは…とハラハラしながら見ていましたが、牛が蹴る際は(馬と違い)斜め後ろを蹴るようです。経験豊富な人ばかりでケラれるような場面は全く目撃しませんでした。)

素牛市場にならぶ素牛たち

順番に(番号があります)並んでせりを待つ牛。まだまだ到着している頭数が少ないです。未知の場所なのでもっと鳴き声をあげるかと思っていましたがたまに「モー」となく程度です。

牛をブラッシングする

牛をキレイにするために念入りにブラッシングする上田さん。ちなみに前日にシャワーで汚れを落とし、頭からヒヅメの先までキレイになっています。輸送中にフンをして汚れた部分などがあるので、そこを丹念にキレイにします。

ちなみに今回上田さんは2頭を出荷しています。目標はと聞くとニッコリ笑って「2頭で100万」という答えが。それが高いのか安いのかよくわからないのですが、1頭で50万を超えたらだいぶ良い値段だということでした。

牛が並ぶ素牛市場

午前8時30分。だんだんと牛が集まってきました。こう並ぶと壮観です。

山口中央家畜市場内食堂

10時まですることがなくなったので市場内にある食堂に行きました。こういう関係者限定(たぶん)食堂ってなんか入ってみたくなりますよね。メニューはうどん・寿司・いなりずしのみ。サッとできていいです。

家畜市場の食堂

市場内食堂の漬物

漬物は無料。どれも手作りなので美味しかったです。奈良漬けと白菜の浅漬けと茄子の粕漬けでした。

肉うどん

肉うどん450円。肉の出汁がしっかり出ていて美味しかったです。麺は稲庭うどんの2倍くらいの多きさで、表面が滑らかなタイプ。

スペシャルうどん

上田さんが頼んだスペシャルうどん。肉・玉子・天ぷらが乗ったまさにスペシャルな一品です。博多出身の僕は天ぷらといえば丸天(さつま揚げ)のことだろうと思っていたので、隣県なのにその常識が崩れ去って驚きました。

市場内食堂の寿司
こちらが寿司350円。こういうセットもあるのか!

いよいよ、せり開始。

10時になり、いよいよせりが始まりました。と言っても、今回上田さんが出荷した素牛は249,250番。1番から一頭ずつ競りにかけられるため上田さんの素牛が競りにかけられるのは12時くらいになります。

せりが始まるまで待機する和牛部会

自分の牛の順番が来るまで待機する繁殖農家の方たち。手持ち無沙汰気味です。僕は市場の中をウロウロしていました。

競り市場で牛をつなぐレール

いよいよ順番が来るとモクシ(ロープで出来た牛の口輪)とこの鎖の先をつなぎます。上のレールに沿って牛を移動させ、逃げるような事がないようにです。

競り市場に入る牛
↑レールに沿って市場に入って行く牛

せり市場での牛の計量

市場に入る前にここで牛を計量します。床の一部が体重計になっており、牛だけを乗せて計測します。

せり市場の計量板
↑こういう風に重量が表示されます。

僕もお手伝いで上田さんの牛をひいて行ったのですが(上田さんにおとなしい牛を選んで頂いたので大丈夫でした)、僕がひいた牛は256kg、もう一方の牛は250kgでした。

当然、誕生日が牛によってまちまちなので誕生してからの日数で体重を割り、生育が良いかどうかを判断する一つの指標にするそうです。

山口中央家畜市場のせり場内部

体重を計測した牛は一頭一頭、このせり場の中央に出されてせりにかけられます。

せりのシステム

まず、関係者には牛の系統や詳細情報などが載った冊子が配られています。そして、牛を中央に出しながら番号と体重、病気の経過など必要があればその他にもアナウンスがあり、せりが始まります。

競り場の電光掲示板
せりは最初に○十万円から~という最低価格でスタートし、購入希望者は手元のスイッチを押します。他にも落札希望者がいる場合、電光掲示板の金額が1000円単位で上がっていくので、「この値段ならOK」というラインを超えたらスイッチから手を離すという単純明快なシステムです。ちなみにかなりのスピードで上がっていくので、30万円からスタートし、60万円で落札されるまで20秒もかかりませんでした。瞬間の判断が重要です。

このせりですが、生産者にとっては自分の牛を育てる腕前の発表会&評価の場なのでかなり緊張するそうです。僕でさえいくらの値がつくかドキドキしました。

せり場の電光掲示板・落札の瞬間
↑値が決まったら電光掲示板にこのように「お買い上げありがとうございます」と表示されます。

上田さんの牛は2頭とも去勢したオスで、それぞれ60万円、59万9千円で落札されました。目標金額100万円だった上田さんは安堵した表情を浮かべられていました。

やはりせり場の値段は、需要と供給がシビアに反映されます。今回の市場は九州や四国の素牛の値段が高くなっているため、九州や四国から買い付けに来た肥育農家さんも多く、値段が普段よりも上がったとのこと。繁殖農家の皆さんは全体的に「良かった」ということを仰っておられました。ただ、高い波もあれば低い波もあります。経験豊富の農家さんは皆「喜んでばかりもいられない」と口々に仰っていました。

今回せり落とされた素牛は肥育農家さんで育てられ、出荷されます。このようにして僕達が口にしている牛肉が出来上がっていきます。感謝の一念です。

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