農業

米農家の1年

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田舎といえば田んぼ

阿東の風景で特徴的なものといえば、オレンジ(柿)色の瓦と田んぼ。

阿東の農家の多くは稲作農家です。(もちろん、その他の作物も一緒にやっているという人が多いですが)

数ある作物の中でも、稲作は少ない人数で大きな面積を使うので農業地でも田んぼは大きな割合を占めます。

ちなみに専業のコメ農家でやっていくのであればだいたい10haほどの面積が必要だと言われています。(有機など特殊な栽培方法でない限り)これは東京ドーム2.1個分の広さ。

園芸(トマトなどのハウス)作物は50a=0.5haで十分すぎるほどの面積なので田んぼの面積が相対的に大きくなるというわけですね。

兼業農家の場合、先祖伝来の土地を守るということであれば(本業に影響しない・手のかからない)米が最もよいのでこの場合もやはり稲作が好まれます。

そんな理由で阿東に限らず、全国的に「田舎といえば田んぼ」という風景が一般的なんです。


 

稲作のはじまり(3月〜)

稲作農家の仕事は3月頃から始まります。もちろん耕作面積なんかにもよって変わってくるのですが、この時期に行うことは「種子からの育苗」、それに「荒起し」と言われる作業です。

育苗(いくびょう)

最も一般的な稲作の方法は種籾と言われる種子を苗まで育て、ある程度育った苗を田に植えるという方法です。
(他に、直接種をまく直播きという方法もあります。)
植えるための苗を育てるためにこの頃から準備を始めます。
稲の育苗

荒起し(あらおこし)

前年の秋に収穫を終えた田んぼ。その田んぼを耕すことを荒起しといいます。トラクターで行います。

この頃の風景はこんな感じです。

田んぼの荒起し

 

田植えの準備(4月〜5月)

田んぼは荒起しをした後、水を張り、「代かき」という作業に入ります。
代かきというのは、荒起しでボコボコになった土の表面を均(なら)していく作業です。
一般的には「荒代(あらじろ)」と「植代(うえじろ)」の2回行いますが、1回で済ませることもあります。
この頃、田には水がはってあるので「ああ、田んぼだなあ」という風景になっています。

田んぼに水を入れる
↑田んぼに水を入れている時です。

いよいよ田植え(5月)

田植えの時期は地域によってまちまちです。
品種によって植える時期が違うのですが、阿東の場合5月上旬頃から遅くとも5月下旬までに田植えを終えることが多いです。
ゴールデンウィークは多くの田んぼで田植えをしている風景が見られます。

なにせ田植えと稲刈りは稲作で最も忙しい時期、ということで「里帰りする」お子さんは大事な労働力。
稲作農家のお子さんには「ゴールデンウィークに帰らなかったらロクデナシ扱いされた」という経験を持つ人も。
それくらい忙しいシーズンなんですね。

もちろん、「ゴールデンウィークはお子さんやお孫さんと遊びたいから」とそれ以外の日に田植えをして、ゴールデンウィークは休む農家の方もいらっしゃいます。

田植えはそれくらい忙しい作業なので、田植えが終ると阿東では「泥落とし」といって慰労するための飲み会や旅行を行います。

 

水管理&草刈り(5月〜9月)

田植えが終わると、収穫までは管理をするだけになります。5月〜9月くらいまでは青々とした稲が生えている田んぼを見ることが出来ます。

稲が育っている夏の田んぼ

この時期ももちろん仕事はあるのですが、田植えと稲刈りの目の回るような忙しいシーズンほどではありません。

主な管理は3つ。
・水の管理
・あぜ草刈り
・雑草&害虫の防除

水の管理、つまり水位の調節は田んぼの管理のなかで最も頻度が高い作業です。丁寧な人であれば毎日見まわって、ちょっと大雑把な人だと3〜4日に1回くらい見回ります。
水道の蛇口から水を出すというわけではないので、同じ水路を使っている他の田んぼの人との兼ね合いもあるのでお互い気をつかいながら管理をするわけです。

あぜ草刈りは年に3〜4回程度行います。放っておくと草丈が伸びて借りにくくなったり、木が生えてくることがあるので気をつけなければいけないところです。

雑草や害虫の防除は、もちろん農薬で行うこともありますし、それ以外の方法で行うこともあります。ヒエなどの雑草が田に生えてしまうと、米に混ざったりするのでなるべく取り除かなければいけないとされています。ヒエの種が土に残ってしまうと、次の年にまた生えてくるので大変です。害虫はなんといっても「カメムシ」が大敵です。米がまだ固まっていない液状の時に汁を吸って、その結果米に黒い斑点がでてしまいます。
見た目が悪く、食味も落ちてしまいます。どうしても発生するので、最終的には色で選別する機械でふるい落としたりします。

 

収穫(10月)

阿東だと10月くらいに稲刈りが行われます。

収穫期には田んぼの水をすっかり落として、干上がった状態にします。
カラッカラの状態じゃないとコンバイン(収穫する機械)が入れないですし、実際水気が多い田んぼに入ってしまうとコンバインがズブズブとはまって大変な事になってしまいます。どんなに排水する場所を開けていても、田によっては水が抜けにくい田んぼがあります。そういった田んぼを管理するのは大変です。
現代では収穫といえばコンバイン!ですが、ほんの30年前くらいまでは掛け干し(かけぼし)という方法がまだまだ残っていました。
僕は昨年、この掛け干しという方法をやってみてとても大変な思いをしたんですが、それはまた後日。。。

稲の掛け干し
↑これが昔ながらの稲の掛け干しです。

コンバインは稲から籾だけを取り除いて収穫してくれるので、これでめでたく稲は籾の状態になりました。

田んぼは稲の切り株が残った状態になります。こうなると見た目は「米の一年が終わった」という感じになりますね。
考えてみると5月〜10月の5ヶ月くらいしか稲が田んぼにある期間はないということです。

 

乾燥調整&脱穀

籾はそのままだと、水分を多く含んでいる事があります。
お米は長期保存するものなので、水分量を15%まで落とすために乾燥を行います。昔は掛け干しで水分を落としていたのですが、今では10トン近くもの米が入るとても大きな乾燥機で乾燥します。
乾燥機の燃料は灯油です。急激に乾燥させてお米の粒が割れないようにしながら半日くらい乾かします。

乾燥したあとは籾摺り機で籾殻を取り除き、玄米の状態にします。玄米の状態で30Kg入の袋に詰めたらあとは出荷するだけ。稲作が終わりを迎えます。

中には荒起しを秋のうちに行う農家さんもいますが、機械の清掃などを終えたらひとまず稲作はここで終わりです。

 

冬の仕事

稲作は10月くらいまでで終わるとしたら、「冬の間は何をしてるの?」と疑問が浮かぶかもしれません。
それは人それぞれですが、昔だと出稼ぎに出たりすることが多かったようです。今では兼業農家の方が多いので他の仕事をされるというのが一般的ですね。


 

ずいぶんと簡単な説明になってしまいましたが、これが米農家の1年間です。もちろん気候によって変化するので、地域によって違うのですが、阿東の田んぼを見てみたい!であったり阿東の美しい田んぼを写真におさめたい!という方はこのような時期を考えて阿東にいらっしゃると良いかと思います。(ちなみに僕のオススメは田植え前の水を張った田んぼに映り込む十種ヶ峰です!)

この記事を書いているのが3月中旬、阿東では荒起しなどの準備が着々と進んでいます。

わずかばかりの面積ですが、僕も稲作をするのでそろそろ準備を始めたいと思います!

 

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